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IFRS対応プロジェクト最前線 Part13:自見庄三郎金融担当大臣の談話に関する留意点(2011/6/27)

金融庁の以下のサイトに、自見庄三郎金融担当大臣の談話が掲載されています。
http://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2011a/20110621-1.html

これによると、「IFRSの2015年3月期からの強制適用は考えていない」と言明されているようです。
この談話以後、まずは私が参画しているプロジェクトでは、特にスケジュールの変更は考えられていません。
少なくとも、海外に積極的に進出している企業ばかりなので、いずれIFRSを適用することが避けられないとの判断で、プロジェクトの中断やスローダウンはしないとのことです。

しかし、海外進出をしていない企業では動揺されている企業も少なくないようです。
特に、IFRS対応プロジェクトのプロジェクト・マネジメント(PM)を担当されている方には、社内からも「すぐに必要な状況ではなくなったので、一旦プロジェクトを解散させるべきではないか」とか、「当面経理部だけで細々と活動は続けても良いが、販売システムや原価計算システムへの影響調査や変更依頼などは、しばらく控えるべきだ」などといった声があるようです。

ここで注意が必要な項目として、以下のような点をあげておきます。

(1) IFRSの強制適用(アダプション)が先送りになっても、コンバージェンスは従来通り進みます。
「収益認識」、「リース」、「引当金(非金融負債)」あるいは「財務諸表の表示」などの会計基準は、日本においてASBJがIFRSへのコンバージェンスを行うのです。
これらは、2017年3月期よりも前に適用される可能性が非常に高いものです。
したがって、IFRSの強制適用(アダプション)が先送りになったということで、販売システムへの影響確認などを棚上げにすると、せっかく稼げるようになった時間を無駄に過ごすことになります。

(2) 任意適用はすでに認められていること。
大臣がIFRSの強制適用(アダプション)を先送りにしても、今後任意適用の企業は増加します。
実は、全くの秘密裏に任意適用を決定している企業があります。
私は数社の企業から任意適用のためのアドバイザーとしての相談を受けています。
それらの企業は、IFRSで開示することで、海外投資家からの投資を期待しているので、今回の大臣談話は全く関係のない話のため、スケジュールの変更はしないとのことです。

(3) 東京証券取引所(東証)などの日本の株式市場では、J-GAAPで開示する上場企業とIFRSで開示する上場企業が併存することになります。
特に同業なのに異なる基準での開示が行われると、海外投資家からの投資により株価が上がりやすくなる企業とあまり株価が変動しない企業に2極分化する可能性が出てきます。
株主は株価が上がることに敏感ですから、海外投資家の割合が少ない理由として、J-GAAPでの開示が指摘されると、株主から急なIFRS対応を迫られるかもしれません。
「うちの会社は、海外へも進出していないし、取引先も国内の企業ばかりだから、もともとIFRSを導入したって効果がしれているから、できるだけIFRSが適用されないようにしてもらいたい」と思っている企業でも、上場・公開している限り、海外投資家による売買の対象になります。
IFRSで財務報告する企業とJ-GAAPで財務報告する企業があったとすると、海外投資家はどちらの企業の株を買うでしょうか?
海外投資家は、理解するために労力が必要なJ-GAAPの企業の株は敬遠するでしょう。
東証の取引の6割以上が海外投資家です。
東証の株価に重大な影響を持っている海外投資家が、J-GAAP企業を敬遠すれば、その企業の株価を押し上げるチャンスが減ることになるのです。
株価をあげる必要のない企業であればよいのですが、そんな企業が上場企業にあるでしょうか。
つまり、海外進出や海外取引が全くない企業でも、上場・公開している限り、「海外投資家」と無関係ではいられないのです。

以上のようなポイントは、まだ日本ではあまり意識されていないように感じますが、いずれ注目されてくるポイントだと思いますので、今後の対応方針を検討される場合の参考にしていただければと思います。


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